広汎性発達障害評定システム(PDDAS)の信頼性と妥当性に関する研究

 この研究は、東京大学大学院医学系研究科・医学部倫理委員会の承認を得て行われています。広汎性発達障害(PDD: 自閉的な発達障害群)は、乳幼児期に発症し、患者の生涯にわたって専門的関与の必要な障害群であり、児童精神医学領域のみならず、成人精神医学領域でも注目を集めている重要な障害群です。

 広汎性発達障害評定システム(PDD Assessment System: PDDAS)は、当教室の前教授で本学名誉教授の栗田廣先生が、国際的な診断基準体系であるアメリカ精神医学会の診断統計マニュアル第4版(DSM-IV)の診断基準にもとづいて、PDDとその単位障害(自閉性障害、レット障害、小児期崩壊性障害、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害(PDDNOS))の診断と、PDDの除外を行うために開発した89項目からなる診断面接方式(所要時間は約1時間)です。PDDASはPDDを診断するだけでなく、PDDでないことを確認する必要がある、注意欠陥多動性障害(ADHD)など、他の発達障害の診断にも必要な方法です。

 現在、このPDDASをわが国で広く使用できるものにするため、保護者の方に同意いただいたお子さんについて、診察で得られた必要な情報を、個人を特定することはまったく不可能な状態にして、データベースに入れて統計的に処理し、信頼性と妥当性を科学的に証明する研究を行っています。

 PDDの鑑別、およびPDDの単位障害の診断は、乳幼児期の状態を詳細に把握し、診断基準に合致する症状を確認することにより行われます。そのためには、診断基準に明示されていないより詳細な症状の重症度評定が不可欠ですが、PDDASはそれが可能な現在わが国で唯一の標準的方式と考えます。PDDASによる診察をご希望の方は、全国療育相談センター(電話:03-3203-1193)までお問い合わせください。






平成18年2月1日
東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
社会福祉法人全国心身障害児福祉財団・全国療育相談センター