公共健康医学専攻(専門職学位課程)を志望される方へ
平成19年4月から東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻(専門職学位課程)が設置されます。精神保健分野はこの新しい専攻の中の行動社会医学大講座に所属することになりました。平成19年2月には、この専攻の入学者選考(平成19年4月入学)が行われる予定です。この専攻に入学し、公衆衛生学修士号(専門職)の取得を希望される方に対して、精神保健学分野では、以下の2つの専門人材の養成を計画しています。
1.精神保健疫学の専門家
2.職場のメンタルヘルス専門家
それぞれについて、以下に説明します。
1.精神保健疫学の専門家養成
授業(精神保健学Ⅰ)では、基礎として、地域のうつ・自殺対策、虐待、PTSD、精神障害者の社会復帰の支援などさまざまな地域精神保健上の課題を、疫学の方法論を使って実態把握・計画・実施・評価することを学びます。さらに関心のある方は、各種の勉強会やさまざまな精神保健疫学プロジェクトに参加いただき、さらに高度な専門知識と経験を習得いただけます。例えば、以下のような技術を習得することができます。
①精神保健疫学面接調査の最新の方法論であるWHO CIDI3.0のトレーニング
②精神保健疫学調査の企画、運営、フィールド調査への参加
③地域精神保健疫学の高度な統計解析手法
修士論文では、これまでの地域精神保健疫学調査で収集されたデータを活用していただけます。学位取得後は、精神保健を得意分野とする地域保健専門職、衛生行政の担当者として、あるいは製薬企業、研究所等で調査・分析担当者として活躍されることを想定しています。博士課程に進学し、精神保健疫学の国際的な研究者を目指すこともできます。
2.職場のメンタルヘルス専門家養成
職場のメンタルヘルスの知識・技術を基礎から体系的に学ぶとともに、実践面での力を習得することができる「職場のメンタルヘルス専門家養成コース」を開講します。学位取得後は、企業やEAPなどで職場のメンタルヘルスの専門家として活躍します。博士課程に進学し、職場のメンタルヘルスの国際的な研究者やさらに高度な技術を持った専門職を目指すこともできます。
精神保健学分野が提供する「職場のメンタルヘルス専門家養成コース」は、職業性ストレスから職場復帰の支援まで、また最先端の研究から現場の技術に至るまでの広汎な知識と技術を体系的に学べるわが国では他に例を見ないコースです。コースは、1年間のコースワーク(週1回×30週)と、1年間の現場での実習・インターンシップから構成されています(1年修了課程の方はすでに2年以上の実務経験をお持ちですので、1年間の体系的トレーニングで十分です)。
臨床心理士(取得予定を含む)の方へ
臨床心理学の修士課程の教育だけでは、職場のメンタルヘルスの専門家としての知識や技術は不十分です。職場のメンタルヘルスの体系的トレーニングを受けて即戦力として職域で活躍してみたい方、すでにEAPなどで働いておいでで、もう一歩上のスキルアップを図られたい方等にお勧めです。
産業医・産業看護職の方へ
産業医、産業看護職として、職場のメンタルヘルスは必須の技術です。しかしながら一般の講習会などでは、最先端の、体系的・実践的な知識と技術を学ぶことは困難です。本コースを受講されることで、産業保健専門職としての能力を大きく向上させることができます。
その他の資格・職種の方へ
本コースでは職場のメンタルヘルスの専門家に必要な知識・技術を総合的に学ぶことができますが、その基礎となる心理学、精神医学などの基礎知識をすでに学部等で学んだ方を歓迎します。また、職場のメンタルヘルスの実践家として働く場合には、何らかの対人支援職の資格が必要となります。産業カウンセラー、精神保健福祉士などの資格を別途取得されることをお勧めします。
入試情報
公共健康医学専攻(専門職学位課程)の入試情報は医学研究科HPをご覧ください。http://www.m.u-tokyo.ac.jp/daigakuin/apply/appguide.html
特に入学後、精神保健学で上記のような高度専門人材としてのトレーニングを受けることをご希望の方は、受験前に必ず川上(精神保健学教授)までメールでご相談ください。連絡先は下記です。
http://plaza.umin.ac.jp/%7Eheart/access_contact.html
精神保健に情熱をお持ちの方の受験をお待ちしております。