日本人の「しあわせと健康」調査-中高年の健康とストレスについての日米比較研究-
私どもの教室では、人々の健康の関連要因を理解し、これを保持・増進するために、さまざまな学術的研究をおこなっております。
現在(平成20年5~7月)、東京都23区にお住まいの30歳から79歳の方から1,000名を無作為に選ばせていただき、「日本人のしあわせと健康に関する調査」を実施しております。調査は、日本の中高年(Midlife in Japan)の頭文字をとって、MIDJAと呼ばれています。
この調査は、東京女子大学、米国ミシガン大学、米国ウイスコンシン大学との共同研究により、日本人のストレスや幸せと、健康との関係を調べ、これを米国と比較することで、日本人の幸せのあり方や、日本人が健康であるためのヒントを探る大規模な研究です。対象者の方は、各区の住民台帳を正規の手続きを経て閲覧させていただき、その中から5万人に1人の割合で、東京都の代表となる方を選ばせていただきました。もし万一対象者となられました場合にはぜひご協力いただければ幸いです。
○MIJDAプロジェクトメンバー
- Carol D. Ryff, University of Wisconsin
- 川上憲人, 東京大学
- Christopher Coe, University of Wisconsin
- 唐澤真弓, 東京女子大学
- Shinobu Kitayama, University of Michigan
- 大田由己子, ゆき医院
- Hazel R. Markus, Stanford University
○この調査には、「アンケート調査」と「健康診断調査」があります。
アンケート調査(平成20年5~7月)は、調査員が調査票をお持ちしてお宅におうかがいします。数日間、調査票をお預けし、後日、調査員が受け取りにうかがいします。
健康診断調査(平成20年7月から順次実施)は、アンケート調査にご協力いただいた方の中からご希望の方に、後日、東京大学(文京区本郷)に近くにある「ゆき医院」にご来院いただき、健康診断チェックを行ないます。検診内容は、血液検査、ストレス反応のための唾液検査、身長・体重測定などです。検査終了後、あなたご自身の検査結果をお知らせいたします。
もちろん、アンケート調査だけのご協力でも結構です。
○調査は中央調査者に委託して実施しております。調査員の訪問時期など調査の実施に関するお問い合わせは、下記あて、お電話にてお願いいたします。なお個人情報には十分に注意して調査を実施しておりますのでご安心ください。
社団法人 中 央 調 査 社
〒104-0061東京都中央区銀座6-16-12
電話 03(3549)3125
0120(48)5351 (フリーダイヤル)
○本調査は新聞でも紹介されています。(以下、朝日新聞(関西) 2008年05月05日号から引用)
幸せってなんだっけ? 日米比較調査がスタート
30代以上の日本人にとって幸せとは何か――東大、東京女子大、米ミシガン大などの医学者、心理学者の共同研究チームが今月から調べ始める。米国では約10年前から同様の調査が実施され、政策提言などにも利用されているが、日本でも幸せな国にする道筋を探るきっかけとしたいという。
チームは、35~75歳の千人を対象に、年齢、職業、健康状態、性格、対人関係や家族状況などについて詳細なアンケートを行い、健康診断を受ける人を募る。「結果を分析して、幸せ感と関係する医学的、心理的、社会的要因を割り出す」と事務局を務める東大大学院医学系研究科の川上憲人教授(精神保健学)は話す。
米国では、米国立加齢研究所(NIA)が資金を出し、約7千人の中高年を95年から調べた結果が公開されている。年齢とともに体と心、人間関係、ストレスなどがどう変化し、幸せ感とどうかかわるのか膨大なデータが蓄積され、社会的問題への提言などにも利用されているという。
チームの北山忍・ミシガン大教授(文化心理学)らによる予備調査では、米国人は「個人的な達成」に幸せを感じる傾向があるが、日本人は「人間関係の協調」という結果が出た。
「これまでの国際比較で、日本人の幸せ感は他国に比べ低く出たのは、日本人が幸せをつかみどころがないものと考えているためかもしれない」(北山教授)。今回の調査で日米間の違いをはっきりさせれば、日本独自の幸せ感の尺度が見つかるかもしれない。日本を覆う閉塞(へいそく)感を考える上でも役に立つ、という。