世界精神保健日本調査サードとは

調査の際には、一般の方にもわかりやすく「ストレスと健康に関する全国調査」と呼びますが、この研究の正式名称は「世界精神保健調査日本調査サード」です。

世界精神保健調査(World Mental Health Surveys)は、米国ハーバード大学医学部が進めている世界約30か国のこころの健康についての疫学調査です。日本における調査(Japan Survey)は、2002-2006年に第1回目(世界精神保健調査日本調査ファースト)、2013-2015年に第2回目(世界精神保健調査日本調査セカンド)が実施されました。世界精神保健調査日本調査は英語の頭文字をとって、WMHJという略称が用いられることもあります。

世界精神保健調査および世界精神保健調査日本調査からは、非常に多くの研究成果が公表されています。たとえば10年前に行われた日本調査セカンドでは、日本人の約5人に1人がこれまでの人生で精神疾患を経験していること、約15人に1人がこれまでにうつ病を経験したことがあること、しかし約3人に1人しか治療を受けていないことなどがわかり、日本のこころの健康づくり対策を進めるための基礎データとなりました。

この10年間に、日本でも世界でも様々な出来事がありました。特に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、日本の社会も大きな変化を経験し、それによって様々なストレスが増加した可能性が指摘されています。ある研究では、世界中でうつ病や不安症が25%程度増えたのではないかと推測されています。

大きな変化を経験した日本において、心の健康問題は増えているのか。10年前と比べて、心の健康問題によって治療を受ける人は増えているのか。こうした疑問に答えるためには、改めて大規模なこころの健康に関する調査を実施する必要があります。「ストレスと健康に関する全国調査」(世界精神保健調査日本調査サード)の結果が日本の新しいこころの健康づくりに役立つことを願っています。